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プラスチック。

ガソダム00の個人的二次創作倉庫です。

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カミサマの気紛れ

唐突に超能力パラレル




 扉を数回ノックし、返事がないのは予想の範囲内。マスターキーでロックを解除し部屋に踏み込む。
 そして目の前に広がっている光景に、ロックオンは溜息をついた。
「またかよ刹那……」

 こじんまりした部屋にベッドが一つ。けれど、そこには誰も寝ていない。
 ブランケットに枕、放置された上着やテーブルやテレビや……とりあえずさして広くない部屋に置かれたありとあらゆるものが宙に浮いている。無論、部屋の持ち主も例外ではない。
 若干浮き気味なベッドの更に上方に小柄な人影を見て取り、改めて溜息。
「相変わらずPKの制御出来てないな。寝ながら浮くなんて器用なもんだぜ」
 しかし、相手は天井付近で健やかな寝息を立てている。声をかけても起きないことは先刻承知なので、この状況で彼を起こすには自分が近付くより他にない。非常時には声をかける間もなく飛び起きるというのに、この寝汚さはなんなのか。
 仕方なくベッドに足を掛け、浮いたテーブルに足を掛け、天井へと近付いていく。
「刹那、起きろよ。お前が自分で制御すんのが一番手っ取り早いんだぞ」
 浮いた家具を足場に刹那の傍へと辿り着くが、気配に敏いはずの少年は一向に目覚める気配がない。叩き起すのは早々に諦め、ロックオンは投げ出された刹那の手に自分の手をそっと重ねた。
 意識を力の流れと同調させ、PKの制御を己の意識下に。
 無意識に発散されている力場を収束させていく。
 だが、彼は失念していた。
 現在彼らがどこにいるのか、この状況を作り出している根本が何なのか、ということを。

 力場が消える。そして、

「うわああああああ!!」

「何事ですかロックオン!」
 ロックオンの叫び声とものすごい物音に神速で駆けつけたティエリアだったが、ドアを叩き開け中の様子を認めた瞬間眉間に皺を寄せ、冷たい目で二人を見下ろした。
 絶対零度の視線に晒されたロックオンは、とりあえず仰向けの体勢のまま顔だけをドアへと向けてへらっと笑って見せる。なにしろ、それ以上の身動きが取れないのだから仕方ない。というか自分が無傷だという現実がちょっと信じ難い。
「よお、ティエリア」
「色々と問い質したいことはありますが、その前に刹那・F・セイエイ、今すぐにそこから退け。ロックオンを下敷きにするなど万死に値する」
「……いやだ」
 だがしかし、もぞりとロックオンの上で身じろいだ刹那のこの一言で空気は更に凍った。怖いもの無しにも程がある。ティエリアの美貌が引き攣り、こめかみに青筋が浮かんでいる。……怖い。
 正直逃げたいが、上に刹那が乗っかり、周囲に家具が散乱したこの状況ではそれも不可能だ。もういやだだれかたすけて。
「刹那・F・セイエイ!!」
「……うるっせえな、お前らなにやってんだよ」
「うわあ、ポルターガイスト並の散らかりっぷりだね」
 ロックオンの心の叫びが天に届いたのか、ティエリアの怒声を遮り現れたハレルヤは部屋の惨状と絶対零度の空間に顔を顰めた。
「つうか、なんでガキ一人起こすだけでこんなことになってんだ」
 まあ、元を正せば足場のことをすっかり忘れていたロックオンが悪いのだが。刹那のだだ漏れだったPKを収束させれば、その影響下にあったものが浮力を無くすのは当然のことなのだから。
「刹那のPK、まだ制御不安定だからしょうがないよ」
「また寝ながらふよふよ浮いてたってのか? アホくせえ」
「浮いてたっていうか、この様子じゃあ“浮かしてた”みたいだけど」
「んなモンどっちだっていいだろ。大して変わりゃしねえ」
 うんざりとそう吐き捨てると、ハレルヤは呆れた眼差しを相変わらず転がったままのロックオンへと向ける。そして、「てめえはどっか抜けてんだよ」と呟きながら人差し指を刹那に向かって伸ばした。
 燐光が刹那を包み、ふわりと少年の身体が浮かび上がる。
「――ッ!」
 抵抗する隙もなく浮いた身体がベッドの上に放り出され、間髪入れずに枕やブランケットが降ってくる。枕が顔面に激突したのにはちょっと悪意を感じた刹那だった。
 ロックオンの周囲に積み上がっていた家具も、燐光を纏い退かされていく。ようやく動けるようになり、起き上がって安堵の息を吐いた。たすかった。
「ありがとなハレルヤ。助かった」
「邪魔だったからな」
 ハレルヤは、ベッドの上で起き上がり、そこはかとなく不満そうな表情を浮かべる刹那を一瞥する。そんな片割れにアレルヤは苦笑しながら、ロックオンへと手を差し出した。
「クリスティナに早く三人を呼んでこいって言われてるんです。そろそろ僕らも怒られそうだし、行きませんか?」
「……そだな」
 アレルヤの手を借りて立ち上がれば、相変わらず仏頂面のティエリアが隣に並ぶ。見上げる瞳にはどこか心配そうな色が浮かんでいたので、宥めるように頭を撫でてやった。
「ロックオン、怪我はありませんか」
「いや、大丈夫だせ。ほら刹那も行くぞ」
「了解した」
 素直に従った刹那の後にハレルヤがぶつくさ言いつつも歩みを進める。
「ったく手間かけさせんじゃねえよ」
「素直じゃないなあ」
 だってクリスティナに頼まれたのはアレルヤなのに、部屋に辿り着いたのはハレルヤの方が先なんて、ロックオンが心配だったからに決まっている。口に出すとものすごい勢いで否定されるから、黙っておくけれど。
(なんだかんだ言って、ハレルヤは優しいよね)
(うるせえよ)
 くすくす笑いながら、アレルヤも皆の後に続いた。




*****
なんとなく超能力者設定が浮かんだので書いてみた。山も意味もオチもない。
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